解雇問題

=日本航空の整理解雇の経緯=

2010年1月19日、日本航空は経営破綻しました。そして、同年12月31日に165名(パイロット81名、客室乗務員84名)が整理解雇されました。その解雇の対象となったのは、高年齢のベテラン乗員と病気による欠勤の履歴を持つ乗員でした。また、整理解雇回避のための施策を提案している労働組合との協議も十分に行われないまま整理解雇が強行され、労使間の信頼関係を大きく損なうという禍根を残すこととなりました。

【働く者の置かれた立場】
東京高等裁判所での審議に当たり、これまで企業再生の第一人者として多くの事例に関わってきた弁護士による意見書が提出されています。その冒頭で整理解雇について以下のように述べられています。
『(要旨)・・・更生会社の労働者も、憲法や労働契約法、労働組合法、労働基準法、賃金の支払いの確保等に関する法律等によって保護されるのは当然のことであり、更生管財人といえどもかかる労働関係法規を遵守しなければならない。更生管財人が労働者との関係を調整する際には、かかる労働者の権利の重要性に十分に配慮して利害の調整を行う必要がある。
特に、整理解雇を実施せざるを得ない場合であっても、会社更生手続きを選択したのは経営側の判断であり、その原因も帰するところは経営側の失敗にあり、労働者にはそもそも非がない事を忘れてはならない。会社更生手続下にあるから人員削減の必要性がより認められるということでなく、経営側の失敗という事情を経営に関与することの出来ない労働者の雇用の問題に転化することは最小限に止められなければならないのであって人員削減の最後の手段とも言うべき整理解雇の実施には慎重でなければならない。』(弁護士 清水直)
破綻後、日本航空の会長に就任した稲盛和夫氏は東京地裁での証人尋問で「今回の整理解雇の回避は不可能ではなかった」、日本記者クラブでは「整理解雇は経営上必要なかった」と発言しています。経営のトップが経営上必要ないと明言した解雇が行われたという事実は、まさに異常な事態と言わざるを得ません。

JAL整理解雇の経緯と資料を見ながら、会社破たんから整理解雇に至る実態を見て行きます。

≪経緯概要≫
2008年夏頃より
日本航空の経営危機に関するマスコミ報道が出始める

2009年8月20日
「日本航空の改善の為の有識者会議」発足(自民党政権)

2009年9月17日
「JAL再生タスクフォース」発足(民主党政権)

2009年10月29日
「企業再生支援機構」が日本航空の立て直しへ動き始める

2010年1月19日
「会社更生法と企業再生支援機構法の適用」を申請し、東京地裁が受理し,日本航空は企業破綻となる
★資料:社内の状況はどうだったのか

2010年9月27日
会社が職場に整理解雇の人選基準案を提示する
★資料:解雇基準は人権侵害

2010年10月1日
解雇対象者の業務を外し退職強要の個人面談を開始する
★資料:解雇強要の面談

2010年11月16日
管財人代理等がスト権投票に対する「介入発言」を行う
★資料:支援機構の不当労働行為

2010年12月8日
組合が会社の介入発言を不当労働行為として東京都労働員会(都労委)に申し立てる

2010年12月9日
会社、解雇対象者に対し解雇の予告通告を出す
★資料:ワークシェアの提案

2010年12月27日
JAL闘争を支援する国民支援共闘会議が発足

2010年12月28日
JAL不当解雇撤回裁判に向けた乗員原告団結団式

2010年12月31日
整理解雇を強行(165名:パイロット81名 CA84名)

2011年1月19日
原告団「整理解雇の無効」を求め、東京地裁に提訴
★資料
(ALPA Japanニュース) 5月23日 JAL整理解雇撤回裁判報告 その①
(ALPA Japanニュース) 5月23日 JAL整理解雇撤回裁判報告 その②

2011年3月9日
水溜取締役(再生支援機構)整理解雇問題で国会証言
★資料:解雇は必要であったのか

2011年3月12日
第1回ILO本部訪問、ILOに「申し立て」を行う

2011年8月3日
都労委、会社の不当労働行為を認定し会社に対して是正命令を出す

2011年9月01日
会社、都労委の是正命令の取消し求め東京地裁に提訴

2012年3月30日
東京地裁 整理解雇問題の敗訴判決
★資料
日本航空整理解雇事件訴訟の結審に際して公正な判断を要請します
自由法曹団 声明文

2012年4月11日
原告団 東京高裁に控訴

2012年6月15日
ILO第一次勧告が出される

2012年6月~2013年9月
ILO勧告に従わず、会社は解決交渉拒否を続ける

2013年10月31日
ILO第二次勧告が出される

2014年6月05日
東京高裁 整理解雇問題の原告団への敗訴判決
★資料:乗員・弁護団 抗議声明

2014年6月19日
原告団 最高裁に控訴

2014年8月28日
不当労働行為問題 地裁判決で介入を認定し会社敗訴

2015年2月5日
最高裁から整理解雇問題で上告棄却・不受理の決定
★資料:最高裁の2つの決定

2015年2月16日
第6回目のILO本部訪問し3度目の「追加情報」を提出
★資料
(乗員速報) 5月3日  モントリオール会議報告
(ALPA Japanニュース) 日本航空乗員を支援するIFALPA声明
(ALPA Japanニュース) JAL整理解雇問題に海外乗員から支援声明
(ALPA Japanニュース) 日本航空のパイロット達を支援する IFALPA声明を全会一致で採択
(ALPA Japanニュース) ILO GDF 参加報告
IFALPA 東京宣言IFALPA  東京地裁への意見書
OCCC 東京声明OCCC要請文 厚労省宛 / 社長、会長宛

2015年6月18日
不当労働行為裁判高裁判決で再び会社敗訴

2015年10月3日
第7回ILO本部訪問及び仏国CGT役員・ILO理事と面談

2015年11月12日
ILO第三次勧告が出される
★資料 (乗員速報) ILO三次勧告を読み解くシリーズ
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2016年9月23日
最高裁「会社の不当労働行為を認定」会社の敗訴が確定
★資料 (乗員速報) 不当労働行為裁判判決を読み解くシリーズ
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2016年11月23日
3労組「統一要求」を決定
★資料:三労組統一要求

2017年4月01日
乗員組合と機長組合の組合統一が実現
★資料:統一宣言

2017年11月~2018年4月
「統一要求」の個別的・具体的な交渉を開始し、同時に回答のポイントを提示する交渉に入る

2018年5月14日
経営が解雇問題に関する「経営方針の変更」を表明
★資料:原告団と支援団体の活動

2018年5月23日
第1回「解雇問題に対する特別協議」が開かれる
★資料:解決に向けて労務方針の変更を表明

2018年9月26日
第5回「解雇問題に対する特別協議」が開かれる
★資料:解雇問題解決に向けた交渉の推移

2018年10月17日
2018年末第1回団体交渉開かれる
★資料:乗員速報 年末団体交渉報告